紅子・杉太と大谷による対話方式の資料:智頭町報に連載内容(シリーズタイトル:幸せな人生とするヒント 第1回)の改編 '23/10/15up
[インフルエンザと対処法(上)]
紅子)今、インフルエンザの流行期ですが・・・。
大谷)インフルエンザは2009年に新型が世界的に流行しました。日本の高校集団感染事例の血液検査を含めた調査で、抗体を獲得しているが、発熱がなかった例や無症状(不顕性感染)例が多いことが明らかになりました。
A香港型やB型でも同じです。
私は、日々の診療でマスクを着用していません。子どもたちに表情を見せたいためですが、一方、ウイルス等を浴び易くなります。
中央病院から智頭病院に異動し20年になりまが、インフルエンザは二回(A・B型)が鼻汁のみで治癒し、他は無症状(・不顕性感染)です。
外来診療では、病状を丁寧に評価し、家庭看護のあり方を具体的に説明します。
特効薬なしで、一過性・一晩の発熱で治る例は多いのです。病状が軽く、発熱が無い場合は、受診しない例もありましょう。
杉)インフルエンザシーズンの願いは軽くて済ませることで~す。
紅)「感染症発症モデル」で具体的にお話を・・・。
大)モデル図には六つの要素があります。
日頃から「抗原量・疲労・脱水」は(発病しても)小さくすること、「免疫能・体力・栄養」は高めて、崩さないことが願いです。
杉)「抗原量」は聞き慣れない・・・。
紅)インフルエンザウイルスのことね。流行期には人の多い室内空間に長居しないこと、家なら換気を心がけて、加湿も・・・。
杉)そうか!映画館や大型店など、人が多く集まる室内の長居は避けよう。マスクの正しい着用や、手洗い・うがいなども関連するんだね。
大)その通りです。一方、対応する「免疫能(感染症の抵抗力)」を高めるのは予防接種です。免疫は常に揺らいでおり、心との関係が重要です。不安・緊張・恐れやイライラ・カリカリなどの心・感情は免疫能を崩します。そうした感情に気づいた際は、リラックスし、心身を整えましょう。
紅)免疫能を安定させるには、「ありがとう・うれしい・ステキだ」を心がけることなのネ。
杉)そうか、インフルエンザシーズンを健康に過ごすには、今回からのシリーズ「幸せな人生とするために」に大切なことなのだ!
紅)体と心の両面について、主題に係る内容を多様な視点で、お届けしていきます。
[インフルエンザと対処法(下)]
紅子)「感染症軽症化モデル」を基に対処法を考えますネ。
抗原量を減らし、免疫能を損なわないことの大切さは第1回をご確認ください。
「疲労・脱水」は日頃から小さく、発病してからも留意して対処します。「体力・栄養」は日頃からの取り組みが大切なのね。
大谷)感染症を考える観点での「体力」は、自律神経系の機能が重要で、別の機会に説明します。
「疲労」には三つの要素があります。
春になれば、毎年、溶連菌感染症も増えます。『春一番』が象徴的ですが、大陸から偏西風に乗って、PM2・5が多く飛来し易い季節で、ノドを傷めて、体調を崩し、感染症を発症し易くなります。
『適時性』の用語が分かり易いのです
が、ノドに異変を感じた際に、早めに水分を摂って洗い流すことやうがいを励行します。春先にもノドをPM2・5などの外的から守る観点でマスクも有用です。ところで、咳はノドの異物感を除くための反射的な同左です。が、安易に咳をすると、そのことでノドを傷めます。理由は?
紅)ハイ。胸(肺)の中には湿度百%、クリーンな体温に温められた空気が入っています。これを強く吐き出すことで、異物を排除する防衛反応です。が、その後、息を大きく吸うことになります。
その際、外気の乾燥し、埃(ほこり)やウイルスなどで汚染した(体温と比べると)冷たい空気を一気に吸うことで、ノドには刺激になります。
杉)咳は増えるよネ。何倍にも!
大)そうです。ノドの疲労を減らす上で、咳が出そうな時に、飲水をすることはとても大切です。学級・職場で咳をすることは、自身のノド・気道を傷めますし、うるさいし、飛沫を飛ばします。智頭小・中学校で
は、気管支喘息の兆候のある方もですが、咳が出ている方や、感染症シーズンには、授業中に持参の水筒の水・お茶を静かに飲水し、ノドを守ると共に、飛沫感染を抑制し、授業中の静かな環境を維持しています。ためらわずに飲水するなどの技術の向上が課題です。
杉)全身の疲労を癒すには、帰宅後や起床時に十分な水分を摂取することも大切なのだ。
紅)そして、心の疲労を考える上では、リラックスや共感。共感には心が和む、仲間・家族が集い、癒
しにつながる・・・。各々が関連し合い、免疫能を安定させることにもなるのネ。
大)その通りです。「脱水」は、進むと脱水症の診断名がつきます。そうならないように、脱水の兆候
を軽減させるように、大切にして欲しいのです。
紅)次回は、『幸せな人生を支える縁の下の力持ち』と言える自律神経系についてのお話です。